『全体観』
事例で学ぶ4コマ劇場今月の接遇ワンポイント情報
ワンポイントアドバイス
今回の事例ではアイさんとサエコさんが、患者様からの問い合わせについてどちらが対応するかでもめているようでした。アイさんは自分の業務ではないから、という理由だけでサエコさんに対応を任せているようです。
他方、サエコさんは自分の仕事があるのに“いつも押しつけられている“、という印象を持っているようですね。
このような互いが自分たちの立場を主張し、自分たちの立場でしか物を見ることができないような心理的壁がある場合、自分たちの守備範囲内での応対に止まり、いわゆる縦割りの応対になります。こうなると、患者様が困ってしまいます。
これを『セクト主義(セクショナリズム)』といいます。対人対応力の秀でた人は、全体を見通す視点“全体観”を持っています。
自分の行動や言葉が他にどのような影響を与えるかを理解し、実践することができます。つまり、自分だけの視点で物を見るのではなく、客観的に相手の立場も考慮して物事を考え、行動します。
今回の事例のように、患者様からの問い合わせに対応できるサエコさんに任せるアイさんの行為は、一見効率が良い様に思えますが、患者様は何度も同じ説明をしなければなりません。そして毎回任せられるサエコさんの仕事を停めてしまうことになります。
患者様はクリニックに問い合わせているわけで、クリニックとしての対応を求めています。ですからアイさんは自分の業務内容でなくとも、ある程度自己解決できる力を身につけられるようにしましょう。
そのようにすることで、“自分の仕事はここまで“といった決め事ではなく、患者様の立場に立った対応を自然と選択して実践できるのではないでしょうか。