新・認定医療法人制度がスタート
平成29年10月1日、認定医療法人の制度改正が施行されました。認定医療法人の場合、持分なし医療法人移行時に法人に係る贈与税が非課税となる一方で、認定医療法人となるための適用要件が追加されています。
単なる「3年延長」ではありません
同制度は、「持分あり」から「持分なし医療法人」への移行促進のために設けられた制度。移行計画の認定を受けた「認定医療法人」は、相続・贈与時にメリットを享受できます。
当初は平成29年9月30日が期限とされていましたが、今年3月時点で未だ75.8%の医療法人が「持分あり」に留まっている現状を鑑み、今回、平成32年9月30日まで期限を延長する改正法が施行されました。
但し、単なる「3年延長」ではありません。まず、認定後に享受できる「特典」がパワーアップし、下記③の特例が追加されています。
認定医療法⼈になると…
- 出資者死亡時の相続⼈に係る相続税が猶予・免除されます。
- ⼀部出資者の持分放棄・低額払戻し時の他、出資者へのみなし贈与に係る贈与税が猶予・免除されます。
- 持分なし医療法⼈移⾏時に、その法⼈に係る贈与税が非課税になります。
これにより、移行の大きな壁となっていた医療法人の贈与税負担が大幅に緩和されます。
その一方で、認定を受けるための「要件」が追加され、より厳格になりました。以下の赤字の要件が追加されています。
認定医療法⼈の要件
- 社員総会の議決があること
- 移⾏計画が有効かつ適正であること
- 移⾏計画期間が3年以内であること
- 法⼈関係者に利益を供与しないこと
- 役員報酬について不当に⾼額にならないように定めていること
- 社会保険診療に係る収⼊が全体(一定の予防接種に係る収入も含まれます)の80%以上等
移⾏後6年間、上記①〜⑥を満たしていること
新制度では、要件が増えたことにより、従前よりも認定までの時間を要することが見込まれます。近い将来、出資者の相続が予想される等のご事情がある場合は、早めにご検討されることをお勧めいたします。