個人情報保護法 医療機関の留意点
改正個人情報保護法が全面施行され、規模に関わらず全ての医療機関も対象となりました。患者の個人情報を詳細に知り得る立場にある医療機関は、同法が厳格に実施されるべき分野の一つとされています。
患者の診療情報、適正な取扱いを
改正に伴い、厚生労働省より別途ガイダンス等※が発出され、具体的事例が示されています。
死者に関する情報も対象ですか?
死者に関する情報は法の対象外ですが、死者に関する情報が同時に遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合には、法の対象となります。患者死亡後も医療機関がその患者の情報を保存している場合には、情報漏洩等の防止のために、生存する個人の情報と同様の安全管理措置を講じなければなりません。遺族に診療情報を提供する際は、厚労省が平成15年9月に作成した「診療情報の提供等に関する指針」の「9遺族に対する診療情報の提供」の取扱いをご参照ください。
患者が意識不明の時は?
急病その他の事態で患者が意識不明の場合は、本人の同意を得ることは困難です。この場合、個人情報保護法第17条第2項各号により、医療従事者は本人の病歴等を家族から聴取できます。意識が回復した後、家族等から取得した情報の内容とその相手について、本人に説明してください。
他の医療機関宛の紹介状は?
医療機関が発行した紹介状や処方せん等を、患者本人が他の医療機関等に持参した場合は、第三者提供について本人の同意があったとされます。
他の医療機関等からの照会に回答する場合は?
自院(A診療所)の受診歴のある患者について、その患者が現在受診している他の医療機関(B病院)から、A診療所における過去の診療結果等についての照会があった場合は、B病院の担当医師等が患者本人から同意を得ていることが確認できれば、A診療所からB病院への診療情報提供について、患者の同意が得られたものとされます。
家族等に病状を説明する場合には?
病態等について、本人と家族等に同時に説明を行う場合には、明示的に本人の同意を得ていなくとも、本人の同意が得られたものと解されます。
本⼈告知の前に家族に相談する場合は?
患者の診断結果等を家族に提供する場合には、原則本人の同意が必要です。病状や予後、治療経過等について患者に十分な説明を行うことが、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合は、医師が必要と認める時は、本人に説明する前に、本人の同意なく家族へ説明することが可能です。
※「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(平成29年4月14日通知、同年5月30日適用)」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000164242.pdf
※「「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に関するQ&A(事例集)(平成29年5月30日適用)」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000166287.pdf