中小経営強化税制、医業は大きく制限
平成29年度税制改正で創設された「中小企業経営強化税制」。「生産性向上設備投資促進税制」等に代わる新たな制度として期待されていましたが、ふたを開けてみると、医療業界には大幅な制限が設けられていました。
中小企業経営強化税制とは
この制度は、中小企業等経営強化法の計画認定に基づいた設備投資を、即時償却等で強力に後押しするものです。従来の「機械装置」に加え、「器具備品」や「建物附属設備」も対象となり、サービス業も含め、中小企業の生産性向上に幅広く貢献する措置へと改組されました。適用期間は、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの2年間です。
大きな投資となる医療機器や建物附属設備で適用できた場合の効果は大きく、これまで広く活用されてきた「生産性向上設備投資促進税制」や「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」に代わる制度として、医療業界でも発表当初から注目されていた税制でした。
医療機器と建物附属設備が対象外に
対象となる「特定経営力向上設備等」とは、経営力向上設備等のうち経営力向上に著しく資するもので、認定を受けた経営力向上計画に記載されたものです。
先に発表された大綱では、対象企業の範囲について「青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもの」と記載されており、それ以上の制限等には触れられていませんでした。
しかしその後、省令案等を通じて詳細が明らかとなる中で、業種による制限が設けられることが明確になりました。医療業界に関連する制限は次の2つです。
つまり、今回期待された「医療機器」「建物附属設備」への対象拡大が、医療保健業の事業者には適用されないということになります。
なお、「医療用機器の特別償却制度」は、平成29年度税制改正にて、対象機器の見直しを行った上で、適用期限が2年延長(平成31年3月31日まで)となりました。500万円以上の高額な医療用機器の取得の際は、こちらの制度の活用をご検討ください。