平成29年度税制改正大綱 医療機関編
昨年末に閣議決定された「平成29年度税制改正大綱※」。財務省の他、厚生労働省等の府省庁からも改正事項の解説資料が公表されています。今回は医療機関に関連の深い改正項目をピックアップし、大筋をご紹介します。
持分なし移行時の贈与税、非課税化
今回の改正では、医療法等の一部改正を前提に、認定医療法人制度の拡充が行われる予定です。その一つが、持分なし医療法人への移行時の贈与税の非課税化です。
移行計画に記載された移行期限までに持分なし医療法人に移行をした場合には、その医療法人が持分の放棄により受けた経済的利益について、贈与税が非課税となる特別措置が新設される予定です。ただし、以下の赤字の要件等が追加されることが予定されています。
ご注意ください。
- 移行計画の認定要件を満たし、厚生労働省の認定を受けること
- 移行後6年間、認定要件を満たしていること
- 社員総会の議決があること
- 移行計画が有効かつ適正であること
- 移⾏計画期間が3年以内であること
- 法人関係者に利益供与しないこと
- 役員報酬について不当に⾼額にならないよう定めていること
- 社会保険診療に係る収⼊が全体の80%以上 等
医療継続時の相続税等の猶予、延長に
また、従来の医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除の特例措置について、適用期限が3年延長され、計画の認定期間が平成32年9月30日までとなる予定です。
高額医療用機器の特別償却制度の延長
医療用機器の特別償却制度は、対象機器が見直された上、適用期限が2年(平成31年3月31日まで)延長される予定です。
中小向け設備投資促進税制の拡充
中小企業投資促進税制の上乗せ措置が改組され、中小企業等経営強化法の計画認定を受けた設備投資は、即時償却が選択できるようになります。また、対象設備も拡大される予定ですので、設備投資の際にはご留意ください。
※平成29年度税制改正大綱
財務省「平成29年度税制改正の大綱」
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/29taikou_mokuji.htm
厚生労働省「平成29年度厚生労働省関係税制改正について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000146766.html