高年齢職員の雇止めをどう取り扱えばよいか
医療機関でみられる人事労務Q&A
Q 70歳を超えた非常勤職員がいます。これまで、特に気にすることなく契約更新を繰り返してきましたが、そろそろ体力的な問題もあり、今後の契約についてどのように考えればよいか気がかりです。対応方法について教えてください。
A あらかじめ雇用契約書で、健康面などについて、具体的な契約更新の基準を決めた上で、勤務日数や勤務時間を減らすことを視野に入れて契約の更新を行い、必要に応じて雇用上限年齢を設定するとよいでしょう。
詳細解説
最近は、70歳といえども健康で体力のある方が増えており、職場にとっても頼りになる存在となっていることが少なくありません。他方で、地域によっては看護師等の一定の職種の人材確保難で、止むを得ず健康面や体力面に問題を抱える高齢の職員を雇用せざるを得ないケースもあり、高齢者雇用の活用法は千差万別です。
そうした中、本人の体力面の問題もあり、そろそろ退職をしてもらったほうがよいのではと思いつつも、雇用を続けながら万が一の事故や怪我の発生にヒヤヒヤしている経営者が多いのが実態です。
こうした問題の発生を防止するには、トラブルが発生する前にまず雇用契約書の見直しが必要です。通常、雇用契約の更新理由には、抽象的な表現を用いているケースが一般的ですが、そのような場合、特に健康面と仕事上のパフォーマンスが繋がるような事項については、具体的な記載へと変更すべきです。そうした記載によって、労使双方の認識を合わせることができ、本人も自己の健康管理をこれまで以上に行ってくれることが期待できます。
具体的には、「1日○時間の立ち仕事に従事できること」「○○の処理を1時間に○件以上こなせること」など、客観的に判断できる指標にしておくことがポイントです。加えて、契約期間についても65歳以降は6ヶ月ごととした上で、定期健康診断も同様に6ヶ月に1回受診してもらい、その健康診断の結果を契約更新の判断基準とする方法も考えられるでしょう。
もっとも、人材確保難で止むを得ず雇用をし続けなければならない場合には、業務全体を見直し、最低限の勤務で全体の体制が整うよう、内部調整を行う必要があるでしょう。そのためには、勤務日数等の調整も不可欠となり、お互いの協力体制を強化しなければなりませんが、この場合は雇用の上限は75歳まで、といったような雇用上限年齢を設けて運用することも検討に値します。
本人の希望は考慮しなければなりませんが、有事の際には患者に迷惑をかけてしまうことのみならず、その職員をフォローするために他の職員のパフォーマンスが低下することもあります。こうした点も留意しなければなりません。