平成29年度の税制改正はどうなる?
平成29年度の税制改正大綱は、例年通りに進めば年末ごろに発表される見通しです。既に各省庁や団体から税制改正要望が提出されています。今回は、厚生労働省が提出した医療・福祉分野の要望項目に注目したいと思います。
新しく出された要望は大きく2つ
今回厚生労働省が提出した新規要望のうち、医療分野に関連するものは以下の2項目です。
(1)地域に必要な医療を担う医療機関の事業の継続に関する税制の創設
過疎地域や離島地域等における医療機関の相続等で、事業廃止ではなく事業の継続を選択できるよう支援し、必要な地域医療を維持するための施策です。
具体的には、過疎地域、離島地域等において必要な医療を提供する医療機関について、一定の期間の事業継続等を要件として、事業の継続に関する相続税・贈与税等に係る納税を猶予・免除する等の措置が講じられることを要望しています。
(2)かかりつけ医機能及び在宅医療の推進に係る診療所の税制措置の創設
かかりつけ医・かかりつけ歯科医の診療体制や、在宅医療に必要な診療体制をとる診療所について、不動産の税制上の措置を創設するという要望です。
地域における患者の健康状態を継続的に診療できる診療所の普及や、国民の健康増進・生活の質向上に寄与する狙いです。
引き続き検討を要望した項目は?
過去に既に提出され、検討中となっている要望のうち、今回、厚生労働省が再度要望を提出した項目は以下の3項目です。
- 医療に係る消費税の課税のあり方の検討
〔消費税、地方消費税〕 - 医療機関の設備投資に関する特例措置の創設
〔所得税、法人税、事業税、固定資産税等〕 - たばこ税の税率の引上げ
〔たばこ税、たばこ特別税、地方たばこ税〕
延長を要望したのは4項目
医療・福祉に係る既存の税制の中で、厚生労働省が延長を要望した項目は次の4つです。
- 高額な医療用機器に係る特別償却制度の適用期限の延長
〔所得税、法人税〕 - 医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等
〔相続税、贈与税〕 - サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長
〔所得税、法人税、固定資産税、不動産取得税〕 - 試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の拡充
〔所得税、法人税、法人住民税〕