精神障害労災支給、医療業界は第3位
医療業界はストレスが多いとされる一方で、メンタルケアが遅れているといわれており、離職の大きな要因にもなっています。今回は、厚生労働省が発表した「平成27年度 過労死等の労災補償状況」※の調査結果に注目します。
請求件数で2位、支給決定件数で3位
同調査によると、平成27年度の精神障害の労災補償状況は、請求件数が1,515件、支給決定件数は472件(うち自殺93件)となりました。この「精神障害」は、仕事による強いストレスなどが原因で発病したものです。
業種別の統計(日本標準産業分類の中分類による)では、「医療業」は請求件数が「社会保険・社会福祉・介護事業」に次ぐ第2位(96件)、支給決定件数は23件で第3位となりました。日本標準産業分類の中分類が全部で99ある中での第2位、第3位ですので、深刻なストレス環境であることがうかがえます。
また職種別でも、請求件数の多い上位職種の第9位に「保健師、助産師、看護師」59件が含まれる結果となりました。
一方で、過重な仕事が原因で発症した「脳・心臓疾患」の平成27年度の労災補償状況は、全業種で請求件数が795件、支給決定件数が251件(うち死亡が96件)でした。
業種別では、「医療業」は請求件数が20件で第10位に入っており、精神障害ほどではありませんが、脳・心臓疾患においても上位となっていることが分かります。
※厚生労働省「平成27年度 過労死等の労災補償状況」
労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などから、過重労働による脳・心臓疾患や精神障害の状況を取りまとめた調査です。
。詳しい内容は、次のURLより該当調査へのリンクでご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000128216.html
理事長等の産業医兼務が禁止に
今年3月31日に公布された「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第59号)」により、平成29年4月1日より、理事長等、事業者の代表者や事業の総括管理者等を、その事業場における産業医として選任することが禁止されます。
労働者の健康管理と事業経営上の利益が一致しない場合に、産業医としての職務が適切に遂行されない恐れがあるために設けられた改正事項です。
理事長や院長、施設長などをその事業場の産業医に選任している場合には、早期に変更しましょう。なお、選任している産業医の変更には、所轄の労働基準監督署への届出が必要です。