福祉施設等の賃金改定状況
昨年12月に厚生労働省から、平成27年の賃上げの実態に関する調査結果※が発表されました。ここでは福祉施設や医療機関などの賃上げ状況に関するデータをみていきます。
8割が賃上げを実施
上記調査結果から、福祉施設や医療機関など(以下、医療,福祉)の常用労働者1人平均賃金(以下、平均賃金)の改定状況をまとめると、以下のとおりです。
調査対象の医療,福祉のうち、27年に平均賃金を引き上げた・引き上げる(以下、引上げ実施)割合は、81.5%となりました。ちなみに26年の引上げ実施割合は73.9%であり、7.6ポイントの増加となりました。調査対象全体の引上げ実施割合は85.4%ですから、医療,福祉は若干実施割合が低いことがわかります。
ただし、全体では引き下げた・引き下げる(以下、引下げ実施)割合が1.2%ありますが、医療,福祉では引下げ実施企業はありません。26年の医療,福祉の引下げ実施割合は2.4%でしたから、この点は好転しており、全体よりもよい状況になったといえましょう。
改定額は500円増加
次に平均賃金の改定額と改定率をみると、下表のとおりです。
医療,福祉の27年の平均賃金改定額は3,755円で、26年より500円増加しました。ただし全体の改定額は5,282円なので、1,500円程度低いという結果になりました。改定率は1.8%で全体の1.9%とほぼ同じ程度です。なお業種によっては、26年よりも改定率が下がっているケースもあります。
改定にあたって重視したこと
最後に、平均賃金の引上げ実施にあたり、最も重視した項目をみると、全体では半数以上が「企業の業績を最も重視した」と回答しています。次に多いのは「重視した要素はない」ですが、3番目には「労働力の確保・定着」が多くなりました。
26年の調査結果では、医療,福祉は平均賃金の引上げ実施割合が25年に比べて低下しました。27年には上昇に転じましたので、28年も引上げを実施する施設が増えることを期待したいものです。
※厚生労働省「平成27年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」
日本標準産業分類(平成19年11月改定)による15大産業に属する会社組織の民営企業で、一定規模以上の常用労働者を雇用する企業を調査対象に、産業別及び企業規模別に抽出した約3,500社を調査客体とし、平成27年8月に、27年1月から12月までの1年間の常用労働者の賃金の改定状況等について調査したものです。
詳細は、次のURLのページからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/15/index.html