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離職理由を事業主都合にして欲しいと要望する退職者の対応

医療機関でよくみられる人事労務Q&A

Q 自己都合で退職する予定の職員から雇用保険の手続きにあたって「離職理由を事業主都合の解雇として欲しい」という要望を受けました。事業主都合の離職であればすぐに雇用保険が受給できるようで、これまで長年貢献してくれた職員であるものの、要望を受け入れてよいのか判断ができません。問題ないでしょうか?

A 事実と異なる離職理由による雇用保険の手続きは違法行為です。よかれと思って対応したことが失業給付の不正受給に加担をしてしまい、トラブルに巻き込まれることもあり、協力すべきではありません。

詳細解説

職員が退職すると、これまでの就業形態や雇用期間にもよりますが、雇用保険の給付を受けることができます。この給付は、自己都合による退職と事業主都合による退職とでは、その給付額が大きく異なるケースもあり、かつ、受給開始時期も変わってきます。
よって、ご質問のように自己都合退職であるものの事業主都合による退職(=解雇)として手続きをして欲しい、という申し出がなされることがあります。

手続き的には、基本的に離職票といわれる書類に「自己都合退職」ではなく、「事業主都合による退職」と記載してハローワークに提出するだけですので、困難な手続きでもなく簡単に届出ができてしまいます。
しかしながら、離職理由を事実と異なった内容で届出をすることは、虚偽の届出となり、雇用保険法第83条において、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金といった処罰が設けられています。
また、虚偽の届出によって失業給付を受給すれば、不正受給ということになりますので、刑法の詐欺行為にも該当します。
当然ながら、その詐欺行為に加担をした事業主も連帯して処罰を受けることになりますので、届出事務にあたっての事業主の責任は重大です。

更には、厚生労働省管轄の助成金の多くは「申請の前後6ヵ月間に解雇等がないこと」を条件に挙げていますので、後々、受給できる可能性がある助成金を申請しようとしても受給できなくなることがあります。
つまり、よかれと思って本人の要望を受け入れたことが、刑法の詐欺罪に加担し、かつ本来受給できる可能性のある助成金が受給できなくなる等の結果となり、問題は山積みです。

以上から、事業主としては、本人にどのような背景があろうとも、雇用保険の届出にあたっては、正しく届出をしなければならないことは言うまでもありません。

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