平成28年度税制改正 医療編
平成28年度税制改正大綱から、医療業界の関連項目に注目します。検討されていた医療機関の設備投資に関する特例措置の創設は、今回は見送られました。
セルフメディケーションの推進
スイッチOTC薬控除の創設
健康の維持促進及び疾病予防について医師の関与がある一定の健康診査や予防接種を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に支払った、自己又は生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入額(保険金等で補填される部分の金額は除く)の合計額が12,000円を超える場合に、その超える部分の金額(88,000円が上限)をその年分の総所得金額から控除できる制度です。現行の医療費控除と併用できません。
かかりつけ薬局の不動産取得税に特例措置
中小企業者が取得する健康サポート薬局の用に供する不動産に係る不動産取得税について、2年間に限り、その不動産の価格の6分の1に相当する額を価格から控除できます。
学資に充てるための金品の非課税所得
「学費に充てるため給付される金品」のうち、「給与その他対価の性質を有するもの」には所得税がかかります。しかし平成28年4月1日以後は、役員や特殊関係者等に給付されるものを除き、「給与所得を有する者がその使用者から通常の給与に加算して受けるもの」について所得税がかからないこととなります。
消費貸借契約に係る印紙税の非課税
高等学校、大学等の生徒又は学生で経済的理由により修学に困難がある者に対して無利息その他一定の条件で行われる学資としての資金の貸付(文科大臣の確認を受けたものに限る)に係る消費貸借契約書で、平成28年4月1日から平成31年3月31日に作成されたものについては、印紙税が非課税となります。
減価償却制度の改正
平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備と構築物の償却方法は、定率法が廃止され、定額法のみとなります。
医療の消費税制等は見送りに
消費税率の更なる引上げを控えた「医療に係る消費税等の税制のあり方」は、高額な設備投資に係る負担への措置も含め、平成29年度税制改正での検討として先送りとなりました。
また、事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置、及び医療法人に対する軽減税率についても見送られました。