上司の指示に従わない職員への対応
医療機関でよくみられる人事労務Q&A
Q 中堅職員が上司の指示に従わず、我流で業務を遂行することがあるため、現場が混乱しています。どのように指導を行っていけばよいでしょうか?
A 作業方法を含め、仕事内容の決定権は使用者にあります。指示に従わないようであれば、程度によっては懲戒処分を行うことも検討しなければなりません。一方で、抽象的な指示によって混乱していたということも考えられることから、なぜそのような方法で業務を遂行するのかを確認すると同時に、具体的な目的やゴール水準等を伝えて指示内容の認識を合わせておくことが必要です。
詳細解説
部下が上司の指示に従わない、という経営者の悩みを耳にすることは少なくありません。特に、仕事をひと通り覚えている中堅職員の場合には、我流で業務を遂行することもあり、そのやり方によっては上司が手を焼くこともあります。
しかしながら、業務については作業手順や仕事の内容等の決定権は、使用者にあるものです。従って、使用者の方針に従わずに我流で業務を遂行しているのであれば、当然注意をして改善を促さなければなりません。その場合、我流を続け、かつ度重なる指導によっても改善がされないのであれば、譴責等の懲戒処分を行うことも考えていくべきでしょう。
その際、自分のやり方を押し通そうと反論してくるケースも想定されます。その場合、面談等によって本人の言い分を聞くことになりますが、実は患者目線の発想で仕事に取り組んでいたということも考えられなくもありません。そのため、指導を行う前のコミュニケーションは極めて重要であり、最初から指導に従わない職員を排斥する態度は取るべきではないでしょう。
また、上司等からの指示が抽象的であったことで、よく分からない状態のまま、自分で模索して取り組んでいたということもあるかもしれませんので、感情が高まる前に、話し合いは行っておきたいものです。
こうした状況を招いた背景を紐解いてみると、そもそも、経営者と職員との間に認識のズレがあることがあります。なぜ、そうした業務が必要であるのか、そしてその業務を遂行する先にはどういったゴールが設定されているのかといったことが、十分に理解できていないことが少なくありません。
患者目線の行動は必要である一方で、医療機関では経営という側面も考えていかなければなりません。このバランス感を持って、業務に取り組んでもらうことができるようになれば、こうした問題はなくなっていくものです。