改正医療法で医療法人はどう変わるのか
改正医療法が成立しました。改正の柱は「地域医療連携推進法人制度の創設」と「医療法人制度の見直し」の2つ。ここでは後者について、医療法上で新たに義務付けられた項目について、注目します。
関係事業者との取引状況の報告が義務化
医療法人の透明性の追求、として報告書作成や監査が医療法上に規定されました。作成書類に関する主な改正点は、以下の通りです。
- 会計帳簿等は閉鎖時から10年間保存(改正医療法第50条の2)
- 事業報告書等に加え、関係事業者(理事長の配偶者がその代表者である等の医療法人や、役員と特殊関係がある者)との取引の状況に関する報告書も作成(第51条第1項)
- 上記の書類(以後「事業報告書等」)は監事の監査を受け(第51条第4項)、理事会の承認(第51条第6項)を経て、社員総会の承認を受ける(第51条の2第3項)
- 貸借対照表と損益計算書は作成から10年間保存(第51条第3項)
- 一定規模の医療法人は以下も義務化。
- 厚労省令で定める会計基準に従い貸借対照表、損益計算書を作成(第51条第2項)
- 財産目録、貸借対照表、損益計算書について、公認会計士または監査法人の監査を受ける(第51条第5項)。監査報告書は都道府県知事に届出(第51条第2項、第52条)
- 事業報告書等の公告(第51条の3)
これまで医療法上に規定はなかったものの、実務上は要求されている事項(監事監査など)が今回の改正により規定されるなど、実態に即した改正が見受けられます。
また、帳簿等の保存期間や事業報告書に新たに加えられる書類などにも注目しましょう。
マイナンバー制、医療分野ではどう活用されるのか
マイナンバー制の施行を目前に控え、厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」は、第8回会合を9月30日に開催し、前回(昨年12月)に公表した「中間まとめ」後の状況を報告、医療分野上の番号の制度設計に関する論点を提示し、意見交換を行いました。
また、今年に入ってからは9月3日に成立した番号の利用法で、「特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携等」が明記されるなど、医療分野での活用について、新たな法改正の動きも見受けられます。