社会福祉法改正 そのポイントを探る
社会福祉法等の一部を改正する法律案が、今国会に提出されました。6月25日時点の情報を元に、この法律案の柱の一つである、「社会福祉法人制度の改革」の重要項目に焦点を当てます。
ガバナンスの強化~評議員会と評議員
社会福祉法人にも、公益財団法人と同等以上の公益性の確保が求められます。具体的には、議決機関としての「評議員会」の設置が義務付けられ、定款の変更や理事などの選任・解任に加え、今後は「理事・監事の報酬の決定」も、評議員会で行われることが想定されています。
評議員の選任方法は定款に委ねられますが、改正法第31条第5項「評議員に関する事項として、理事又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨の定款の定めは、その効力を有しない。」に留意して、現状の定款をご確認ください。
評議員の資格等は、改正法第40条に規定されています。評議員は役員や当該法人の職員を兼職することができない上に、評議員の定数は理事の定数を超える必要があります。
更に、評議員は役員等と連帯して社会福祉法人や第三者に対する損害賠償責任を負うこととなります。(改正法第45条の20、第45条の21)
制限、責任、ともに厳しくなる中、全ての条件を満たした評議員を必要定数確保できるかどうかが、大きな課題となります。
財務規律の強化~内部留保の明確化
適切・公正な支出管理、内部留保の明確化、計画的な再投資を重視した項目が見受けられます。
- 現況報告書(役員名簿、補助金、地域の福祉ニーズ対応支出額、役員の親族等との取引内容)に加え、「役員区分ごとの報酬総額」が閲覧・公表の対象に(改正法第45条の34)。
- 一定規模以上の法人(特定社会福祉法人)を対象に、会計監査人による監査を法律上義務化(改正法第37条)。対象とはならない法人であっても、定款で定めて会計監査人を置くことも可能(改正法第36条)。
- 「社会福祉充実計画」に関する条文が新設(改正法第55条の2他)。
上記3は、いわゆる「内部留保」の実態を明らかにして、適正な活用を促すための仕組みです。具体的には、「社会福祉充実残額(再投下財産額)」を算出し、これを保有する法人は、その再投下計画の作成が義務付けられます。
この再投下計画は、評議員会の承認を経た上で、公認会計士か税理士の確認書を付し、所轄庁の承認を得なければなりません。