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有期労働契約の更新をする際の注意点とは!?

医療機関でよくみられる人事労務Q&A

Q 現在、パートタイマー職員については、1年ごとに労働契約を更新しています。
しかし、実態としてはほぼ自動更新のような運用になっており、契約期間満了後に、労働契約書を形式的に作成することがあります。このような状況下において、問題職員については次回の契約更新時に契約を更新することなく、契約期間の満了日に退職をしてもらっても問題ないでしょうか?

A 有期労働契約については、契約更新の都度、労働契約書において、更新の有無、更新の基準を明示する必要があり、こうした手続きを踏むことなく雇用を続けていれば、無期契約と同視される恐れが高まります。その結果、労働契約終了の手続きが解雇として取り扱われることがあるため、注意が必要です。

詳細解説

パートタイマー職員等の有期労働契約者については、一般的に数ヶ月から1年以内の期間を定め、雇用継続の必要性を判断の上、雇止めを行うか、引き続き雇い続けるという運用が基本となります。ところが、定めた期間内に判断や更新手続きをすることなく、実質的に雇用を続けるという運用が行われていることがあります。

そもそも有期労働契約の締結にあたっては、本来、労働契約を更新するか否か、あるいは更新をする可能性があるのかという点を、予め労働契約書等において定めておくことが求められています。そして、契約を更新する可能性があれば、「契約を更新する場合の基準に関する事項」の明示が必要となり(労働基準法施行規則第5条第1号の2)、契約期間満了時の業務量、従事している業務の進捗状況、職員の能力、業務成績、勤務態度、会社の経営状況といった契約更新の判断基準となる事項を労働契約書等に明記することになります。

しかしながら、本来は労働契約の満了までの間に行わなければならない契約更新の手続きが正しく行われていない場合には、形式的には有期労働契約といえども無期契約と実質的には異ならないと考えられることになります(東芝柳町工場事件 最判昭49年7月22日)。これはその雇止めが、解雇と同視されるということを意味し、労働契約法第19条においても「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で有期雇用の契約が更新されると定めています。

以上から、有期労働契約者の雇止めを行う場合には、更新の有無や更新の基準を雇用契約期間内に正しく本人に伝え、更新をしないことについての具体的な事由を本人にも十分に説明することを大前提として、運用をしていかなければなりません。

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