『社会保険の「出産育児」に関する制度が変更されている?』
医療機関でよくみられる人事労務トラブル実例Q&A
Q先日、女性職員から妊娠した旨の報告を受けました。当院としては5年ぶりのことですが、最近、出産育児に関する社会保険の制度が改正されたと聞いています。どのような制度改正があったのでしょうか?
A2014年4月より、産前産後休業期間中の社会保険料が免除となり、また、育児休業期間中に支給される雇用保険制度の育児休業給付金の給付率が引き上げられています。
詳細解説
少子化対策として、2014年4月から次の2点の改正が行われました。いずれも手続きによってメリットを享受することができるため、確実に申請を行いたいものです。
1.産前産後休業期間中の社会保険料免除(対象/社会保険加入者および事業主)
従来から設けられている育児休業期間中の社会保険料免除制度に加えて、新たに産前産後休業期間(産前42日※多胎妊娠の場合は98日、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)の健康保険料・厚生年金保険料が、事業主分および被保険者分ともに免除される制度が始まりました。
免除期間は、産前産後休業開始月から終了日の翌日の月の前月までとなっており、2014年4月分の保険料から適用されています。
これにより、出産に際して産前休業を取得する段階から育児休業を終了し、職場復帰するまでの間、一貫して社会保険料が免除されることになりました。
2.育児休業給付金の支給率引き上げ(対象/雇用保険加入者)
原則として1歳未満の子を養育するために育児休業をした場合、職員本人に対し、雇用保険制度から育児休業給付金が支給されます。
2014年4月1日以降に開始する育児休業からは、育児休業開始から180日目までの間の支給率が、従来の休業開始前の賃金の50%から67%へと引き上げられました。
以上のほか、職員の出産や育児に関しては、健康保険制度から出産育児一時金(出産時に給付される一時金)、出産手当金(産前産後休業期間中の生活保障)といった給付を受けることができますが、これらの制度は、申請によって受給することができるものですから、受給漏れがないように申請を行いたいものです。
こうした制度の活用をしっかりと行うことで、職員も安心して働くことができ、事業主としては、社会保険の費用負担を軽減することができます。
※上記は、全国健康保険協会(協会けんぽ)管掌健康保険および厚生年金保険の適用事業所の場合です。健康保険組合や国民健康保険等に加入されている場合は、各保険者に制度をご確認ください。