人生の最終段階に受けたい医療
医療技術の進歩により、人生の最終段階における医療の選択肢が多様化しています。一方で、「自然な死」を迎えることを希望する人が増えてきているともいわれています。今回は、4月2日に厚生労働省「終末期医療に関する意識調査等検討会」が公表した調査報告書(※)から、国民が望む終末期医療を検証したいと思います。
居宅希望が医療機関・施設を下回る
調査では6つのケースにおける「希望する医療」の結果が出ていますが、ここではそのうち、以下の3ケースに注目します。
A:末期がん。食事や呼吸が不自由であるが、痛みはなく、意識や判断力は健康時と同様。
B:重度の心臓病。身の回りの手助けが必要だが、意識や判断力は健康時と同様。
C:認知症が進行。身の回りの手助けが必要で、かなり衰弱が進んできた場合。
「どこで過ごしながら医療を受けたいか」の質問に対する一般国民の回答は、Aのケースを除いて、居宅希望者が少ない結果となりました(下表)。
胃ろう、人工呼吸器等、希望しないが多数
また治療方針に関する一般国民の希望は、「肺炎の場合の抗生剤服用・点滴」「口から水を飲めなくなった場合の点滴」の割合が高い一方、「中心静脈栄養」「経鼻栄養」「胃ろう」「人工呼吸器の使用」「心肺蘇生処置」は2割以下と非常に低くなっています(下表)。
人生の最後の時期の過ごし方について、どこで誰とどのように過ごしたいのか、患者本人の生き方、考え方を踏まえた支援、医療・ケアの質の向上が、今後より一層望まれます。
※「人生の最終段階における医療に関する意識調査」
厚労省が昨年3月に一般国民、医師、看護師、施設介護職員、 施設長、総勢18,800人を対象として郵送にて実施。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000042775.pdf