『タトゥー(刺青)を入れていた職員を解雇したい』
医療機関でよくみられる人事労務トラブル実例Q&A
Q採用した職員の腕にタトゥー(刺青)が入れてあることがわかりました。患者等への影響を考え、その職員を解雇したいと思います。問題ないでしょうか?
Aタトゥーを入れている事実だけを理由に解雇をすることは、解雇権の濫用としてトラブルになるリスクを抱えることとなります。患者に不安を抱かせないように、まずは隠して仕事をしてもらうといった指導を行う必要があります。
詳細解説
最近はファッション感覚でタトゥーを入れる若者が少なくありませんが、採用面接時において見えない箇所にタトゥーが入れてあれば、
通常は気付くことなく採用をしてしまうものです。しかし、勤務開始後に何かの拍子にその事実が判明し、それが対外的に悪影響を与えることになると懸念
して、解雇をしたいと考える気持ちはわからないでもありません。
ところが、その職員がタトゥーの存在を知らせることなく真面目に仕事をしていたらどうでしょうか。人を威嚇する目的でタトゥーを積極的に見せているということであれば話は別ですが、タトゥーを入れているという事実だけで解雇をするのは、解雇権の濫用となりトラブルの原因となる可能性が高まります。
また、身体のアザを隠すためにタトゥーを入れているようなケースもありますが、そのような場合には人権問題に発展することがあり得ます。
以上のことから、タトゥーを入れている職員に対しては、患者の前に出る際には、不安を抱かせないように必ず包帯・サポーター等を巻くなどして、タトゥー部分が見えないような服装をするよう指導するといった対応を行う必要があります。その際に、なぜタトゥーを隠さなければならないのかという点も説明を行うと効果的です。医療という分野で働く以上、単純に作業的な仕事をするのではなく、患者へのホスピタリティを高める必要があり、そのためにはタトゥーが見える状態ではいけないということを理解してもらうことができれば、患者のみならず職員も不安を感じるということがなくなるものと思われます。