職員のSNS利用にあたって、どのような対策が必要?
医療機関でよくみられる人事労務トラブル実例Q&A
Q最近、飲食業を中心に従業員がFacebookやtwitterといったSNS(socialnetworking service)を使った情報発信によって多くのトラブルを招いていると聞きます。当院においても何か対策を講じた方がよいでしょうか?
A個人から不特定多数に向けて情報を発信することができるSNSでは、倫理観に欠ける内容も少なからず見られます。徹底した守秘義務や高い倫理観が求められる医療機関では、規程やガイドラインの整備のみならず、研修の実施など踏み込んだ対策も検討するとよいでしょう。
詳細解説
SNSとは、インターネット上で、人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のWEBサイトのことであり、Facebookやtwitter、ブログ等がその代表例とされています。このSNSを用いて、勤務する従業員が「芸能人の○○が来店をした」といった守秘義務に反した内容や「今日来た客はおかしい」といった倫理観の欠如がみられる内容を投稿するケースが最近相次いで発生しています。その結果、外部からの非難によって中には店舗を閉鎖せざるを得なくなった飲食業者もあります。こうしたことは、徹底した守秘義務や高い職業倫理が求められる医療業界では絶対にあってはならないことであり、対策を急ぐ必要があります。
具体的な対策として考えられるのは、以下の2点です。
(1)規程やガイドラインの整備(2)職員教育(研修の実施)
(1)については、SNSの利用にあたって禁止されること(例/患者が特定される内容を書き込まないなど)をまとめ、就業規則や誓約書等へ記載することが考えられます。更にはSNSの望ましい使い方を職員間で話し合ってもらい、それをガイドラインとしてまとめていってもよいでしょう。また、それらの内容を確実に職員に浸透させるために、経営者または専門家が講師として研修を行い、SNSの利用にあたっての注意点や、故意または過失により患者情報等を漏えいさせた場合にはどのような懲戒処分が行われるのかといったことを伝える場を設けることも考えられます。
なお、SNS利用にあたってのガイドラインは、最近、様々な地方自治体や大手企業が独自にルールを策定し、WEB上で公開をしていますので、そのガイドラインを参考に独自のルールを考えていってもよいでしょう。