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勉強会参加は労働時間となる?

医療機関でみられる人事労務Q&A

当院では、業務終了後に職員が自主的に集まって勉強会を行うことがあります。今回、勉強会への参加を管理職が強く呼びかけたところ、一部の職員から「参加が強制されるのであれば時間外手当を支払って欲しい」という声が挙がりました。自主的な勉強会に対して、賃金(時間外手当)の支払いは必要でしょうか?

勉強会に参加しないことで不利益な取扱いがあるなど、実質的に参加が強制される場合、その時間は基本的に労働時間と扱われ、賃金(時間外手当)の支払いが必要です。そのため、労働時間として扱わないのであれば、自由参加であることや不参加の場合でも不利益がないことを明確にしておく必要があります。

詳細解説

医療や介護の現場では、患者等へのサービス向上に向けた取組や新しい機器等の導入に向けて、通常の業務終了後に職員が集まって自主的な研修や勉強会を行うことが少なくありません。ところが、そうした研修や勉強会の時間が労働時間に当たるのではないかというトラブルは後を絶ちません。

労働時間については、労働基準法上では明確な定義がされていませんが、最高裁判例(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁一小・平12.3.9判決)において、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を労働時間とする」と示されています。

つまり、今回のご質問における研修や勉強会の時間が「使用者の指揮命令下に置かれている時間」に該当する場合には、その時間は労働時間となります。

なお、その実務的な判断においては、「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない(昭26.1.20基収第2875号)」という行政通達が発出されており、参考になります。

また厚生労働省は、平成29年1月20日付で「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定し、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は労働時間であると示しています。

その上で、「休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならない」と、実態に即して労働時間の判断を行うことを求めています。

以上から今回のケースについては、管理職から強く参加を求められた状況から考察すると、労働時間として扱うことが妥当と考えられます。今後も自主性を重んじた研修や勉強会を実施するのであれば、自由参加であることを明確化すると同時に、管理職による干渉は最小限に止めておくことが望まれます。

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